2008/03/04
クックパッド株式会社
![[時代を創る、自分を育てる]インターネット企業のワークスタイル](/img/library/tour/work/cookpad/title.gif)
まずは、今の仕事に全力投球すること。すると「次」が、自ずと見えてくる。
インターネット業界では、30代にして成長企業の幹部社員に就任することが多く見られる。では、そのためにどう働き、どう考え、どのようなキャリアプランをつくればよいのか。クックパッド・森下満成氏に聞いた。
「クックパッド」は、掲載レシピ数約31万種類、月間利用者は約350万人。その規模において国内最大級の料理レシピ投稿・検索サイトだ。ユーザーの9割は20~30代の女性。また、食品メーカーや消費財メーカー、スーパー、コンビニエンスストアなどとのタイアップ・ビジネスにおいて優れた企画力を発揮することでも定評がある。これらBtoBビジネスの中心を担うのが、森下氏だ。
若いうちから活躍したい、まだ安定したくない。この思いで、2度のキャリアチェンジ
森下氏は2度の転職を経験している。1度目は、26歳の時。
「新卒で就職した大手化学メーカーでは、楽しい会社員生活を送っていました。しかし、ベンチャー系企業に入社した友人が、起業したり新事業を立ち上げたりしているのを知り、自分も大企業で順番待ちをしているよりも、若いうちから活躍できるチャンスが多くあるベンチャー企業で働きたい気持ちが強くなり、転職を決意しました」。
そこで、若手社長が経営するモバイルベンチャー企業に転職。しかし「営業は初めての経験だったので、最初は戸惑いと失敗の連続でしたね(笑)」。
やはり安定した大手企業の方がいいのかも、と一瞬考えた森下氏だが、ここで思いとどまる。
「"隣の芝生は青くない"。やってみれば、どんな仕事にも面白さも大変さもあると思うんです。だから一度自分で決断した道で、まず自分が与えられた仕事を一生懸命やろうと思いました」。
1年後、転機がやってくる。広告プロモーションを担当する部署に異動、大手広告代理店に常駐することに。百戦錬磨の人々にもまれ、多くのトラブルも経験し、成長した。
その仕事も約4年で一区切りがつく。会社も上場、安定期に入ってきた。
「そうしたら、つまらなくなっちゃって。ここで安定してどうする、と。起業するか自身の成長と会社の成長がリンクする将来性のあるベンチャー企業に参画するか。そういう気持ちが日々大きくなっていきました」。
これからの時代、インターネット業界に並び、農業や農産物に関する仕事の重要度は増すようになると思った森下氏は、事業計画を練る。それと同時に人脈を広げようと積極的に異業種交流会に参加。そこでクックパッドの代表執行役社長 佐野氏に出会う。そして、食という観点から日本をよくしていこうというビジョンに共感し、入社を決意した。
食品業界に新しい広告戦略を提案。ユーザーとクライアントのwinwinを目指す
現在の森下氏は、食品業界に広告プロモーションを提案する仕事をしている。
「食品メーカーを始めとする多くの大手企業から自社のブランド戦略についてご相談を頂きます。クックパッドのユーザーはクライアントにとって重要な顧客であるので、マーケティング戦略を考える上で欠かせない存在となっています。最近では、スーパーやコンビニといった流通企業との取り組みも始まっており、クックパッドの事業領域は多方面に広がっています」。
例えばレシピコンテストを実施した場合、ユーザー発信のアイディアレシピが商品の汎用性を広げる鍵となり、需要拡大に繋がる。
「ユーザーは楽しみながらレシピを考え応募する。そして、クライアントにとってはニーズの底上げになる。winwinの関係を築けるのが、この仕事の魅力だと思います」という森下氏に、10年後にはどうなっていたいかという質問をしてみた。
「仕事において"打ち出の小槌"つまり、自分で何かを生む力を持っていたいと思います」とのこと。そして、キャリアアップを考える人たちへこんなメッセージをくれた。
「チャレンジ志向、安定志向、人それぞれ考え方は違うと思います。しかしビジネスマンとしてのチャンスが、できるだけ若いうちに訪れるよう行動することは、決してマイナスにはならないと思います」。
商品に新しい価値を生み出す斬新なマーケティングプロジェクト
~「エバラ焼肉のたれ」プロジェクト完了までの3カ月~
エバラ食品工業株式会社とのタイアップ企画であるレシピコンテスト。オリエンテーションから完了まで、プロジェクトはこのように進行した。
1.オリエン(「エバラ焼肉のたれ」の課題ヒアリング)
「焼き肉をする時しか商品を購入しない」という消費者が多いことから、商品の汎用性を広げたい、消費者に食べ方の提案をもっとしたいなど、クライアントの具体的なニーズをヒアリングします。
2.「エバラ焼肉のたれを使った毎日のおかず レシピコンテスト」を提案
クライアントの目的を達成する企画を社内でブレストし、提案をレシピコンテストに決定。
3.実施決定の連絡!
クックパッドの価値が伝わり発注が頂ける、営業マンが一番うれしい瞬間!
4.制作キックオフ(社内MTG)

制作チームと目的やコンセプトを共有したり案件の戦略を立てることで、具体的なゴールを設定します。
5.全体スケジュールの作成
先進的なITツールを活用し、プロジェクトの進行を管理、情報をチームでスムーズに共有しています。
6.レシピ投稿サイト「クックパッド」のサイト上でコンテスト開始
通常の4倍以上のページビューを記録!

実施期間は約50日。通常のレシピコンテストの平均ページビューは5万~8万なのに対し、今企画では20万以上。150件以上のレシピが投稿され、人気は上々!
7.優秀レシピ発表!「お気に入り」の登録数はなんと約4000件!

この企画から「焼肉ピザ」「大根と焼肉のサラダ」「焼うどん」等多くの人気レシピが生まれ、7000件以上の家庭で印刷される大ヒットレシピも誕生。クライアントからも高い評価をいただきました。
8.プロジェクト成功!斬新な「レシピ」が消費者の心をつかんだ!
- このレシピを考案した「けい♪さんの簡単ビビンバ」
今回消費者から生まれた人気レシピは、今後店頭の販促用に活用したいという要望をいただいています。
森下氏のライフスタイル
- Q. 休日は、どう過ごす?
- 本を読んでいることが多いですね。特に歴史物が好きです。
- Q. 健康のためにしていることは?
- 時々ですが、走っています。仕事柄、食べることが多いので。
- Q. アイデアが浮かぶのは、どんな時?
- シャワーを浴びている時と、走っている時。どちらも頭を真っ白にしているからでしょうか。
- Q. 仕事で失敗したことは?
- 入社したての頃。サイト利用者は主婦の方が多いので、それをターゲットにした企画なら単純に当たると思い、料理以外の企画を立てたのですが、製作の手間が増えたわりには成果が出なかった。強いところに特化していく"弱者の戦略"が必要だと、学びました。

執行役 広告事業部長
森下満成氏
1973年、奈良県生まれ。早稲田大学商学部卒業後、三菱化学株式会社入社、ファインケミカル事業企画に関わる。2000年、サイバードに転職、広告プロモーション事業に従事。2005年7月より現職。
| 企業名 | クックパッド株式会社 |
|---|---|
| 本社所在地 | 〒107-0061 東京都港区北青山2-7-26 メゾン青山2F |
| 事業内容 | 350万人が利用する料理サイト『クックパッド』の制作・運営・管理、広告事業、食の検索データサービス『たべみる』の販売、携帯サイト『モバれぴ』ベータ版のリリース、書籍の企画販売 |
| 設立 | 1997年 |
| 代表者 | 佐野陽光 |
| 従業員数 | 24名(2007年10月現在) |
| URL | http://cookpad.com/ |
本記事は、日経ビジネスアソシエ08年3月4日号に掲載されたものを転載しております。