2008/04/08
代表取締役|宮田拓弥氏 ジェイマジック株式会社

カメラとネットワークの連携に勝機、世界進出も視野に
「あなたは有名人とどれくらい似てる?」2007年のヒット商品として話題に挙がるのが『顔ちぇき!~誰に似てる?~』だ。『顔ちぇき!』を提供するジェイマジックの宮田拓哉社長に話を聞いた。
「あなたは有名人とどれくらい似てる?」
2007年のIT関連のヒット商品として話題に挙がるのが、ジェイマジックが提供する携帯電話向けサービス『顔ちぇき!~誰に似てる?~』だ。顔ちぇき!は、携帯電話のサイトにアクセスして、自分や友達の顔写真を電子メールで送ると「似ている有名人3人と、どれくらい似ているか」を教えてくれるモバイルサイトだ。10~30代を中心に人気を集め、2007年4月のサービス開始から12月までで累計利用者が8000万人を超え、12月27日からは KDDIのEZweb公式サイトになるなど、多くのユーザーから支持を集めている。「ケータイカメラとネットワークをつなげたらすごいことが起きた」と話すジェイマジックの宮田拓哉社長に話を聞いた。

- 大学を卒業して外資系の金融系システムインテグレーターで働いていたという宮田社長
ITmedia 2007年は『顔ちぇき!』がヒットしました。
宮田 顔ちぇき!のヒットは2007年の一番大きな出来事でした。「○○に似ているね」というコモンフレーズをアプリケーションにできないかと模索したことがきっかけで開発したサービスです。会社を知ってもらえたことで、派生的に別のサービスが、優秀な人材を採用できたりなどの利点もありました。
『顔ちぇき!』はとてもシンプルな娯楽サイトである点が人気の秘密と考えています。利用者は、いつも持ち歩いている携帯電話のカメラで顔の写真を取って、メールで送るだけですぐに結果が楽しめます。われわれは、モバイルのインターネットと画像認識の技術でそのサービスを支えています。ケータイカメラとネットワークをつなげたらすごいことが起きました。
ちなみに、この画像認識技術はもともと、顔写真から不審人物のデータベース、つまりブラックリストを作るなどの国防やセキュリティの発想で生まれたものです。
ITmedia 宮田さんのインターネットへの考え方を教えてください。
宮田 わたしがインターネットビジネスに惹かれる理由は、他の業界のような「やり尽くされた」感覚がないからです。検索キーワード広告事業のグーグルやオーバーチュアなどは、これまで市場がなかったところに突然生まれた企業で、可能性に満ちている点が魅力です。新しいアイデアが人間のライフスタイルを目に見える形で変えているわけですから、それは楽しいです。

- 業界自体の新しさがインターネットの魅力だという
ITmedia 新しいサービスを世に送り出す際に、どんな人材が必要と考えていますか?
宮田 通常、企業で働く技術者は顧客が欲しがる商品を作るようにいわれるかもしれません。カスタマーオリエンテッドといった手法ですね。わたしはむしろ「セルフオリエンテッド」な人が必要と考えています。自分が欲しいものを作るという意味です。
人々のライフスタイルを革新するほど突き抜けた技術をつくるには、技術者自身が「どうしても欲しいと思うからつくる」といった思い入れが必要だと考えています。それが従業員である技術者やユーザーの幸せにつながれば一番いいですね。とことん楽しんで仕事ができるかがカギということです。
ITmedia 大学生や若手の転職希望者などインターネット業界を目指す若手にアドバイスをお願いします。
宮田 可能性にチャレンジするのが好きな人は絶対にインターネット業界を目指した方がいいです。いきなりスーパースターになれる可能性もあります。業界が新しいですから、かつてのネット業界の巨人でも今では小さく見えるほどです。
ITmedia 2008年の目標を教えてください。
宮田 2008年以降は携帯電話のカメラ機能の新しい使い方を新たに提案していきます。一言でいえばテキスト検索への挑戦です。例えば、銀座で買い物をしているときに好きな商品を見つけたとします。その商品の写真を撮影して、色や雰囲気などが似ている商品をインターネット上で検索するといったことができるのです。こうしたショッピングの仕方をSAYL™のアプローチで提供して行きたいと思っています。SAYL™ は当社のサーチプラットフォームで、サーチ・アズ・ユー・ライクの略です。
山できれいな花を見つけてもテキスト検索では探せませんが、画像解析技術があれば、色、形をもとに図鑑から調べられるのです。現在は画像だけですが、今後は、音などから探せる検索エンジンの開発にも着手します。

- 2002年にはシリコンバレーの日本法人で画像技術を扱うビジネスを手掛けた
2008年は事業の国際展開も視野に入れています。既に世界中から問い合わせが来ていますが、韓国、台湾、中国でまずビジネスを開始したいです。これまで、インターネットサービスを輸入することはあっても、日本で成功したものを輸出した例はあまりありません。ぜひ世界進出をしてみたいのです。そのために、足がかりとしてまずはアジアに足を踏み入れる考えです。
ITmedia 年始めはどのように過ごしましたか?
宮田 ひたすらスポーツを見るのが毎年恒例になっています。全日本実業団対抗駅伝大会(ニューイヤー駅伝)や東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝)、ラグビーなどです。
読書もしました。例えば最近読んだ中では、2006年まで連邦準備制度理事会(FRB)議長を務めたアラン・グリーンスパン氏の「波乱の時代」が面白かったです。ニクソン、フォード、ブッシュ(父)、クリントン、ブッシュといった米国大統領の各時代の雰囲気が分かります。本の中でITには少ししか触れていませんが、インターネットの歴史は米国が中心なので興味深く読みました。
本記事は、2008年1月のITmediaエンタープライズに掲載されたものを転載しております。